ハイハイの重要性
最近は小金井市内を歩いていても赤ちゃんや小さいお子さん連れの方をよく見かけますね。
小さなお子さんを育てている親御さんは、育児による体の負担が大きく肩こりや腰痛などで整体やカイロに行く方も多いようで当院にもよくおみえになりますが、そのような親御さんとお話をすると、お子さんの発育状況の話がよく出ます。今回はそんな話の中からでてきた赤ちゃんの「ハイハイ」の話です。
当院でも子育て世代のお母さんお父さんが来院されることは多いですが、そんな中で、「うちの子はよく転ぶ」とか「転んだ時に手が出ずに顔をぶつけてケガをした」といった話をされる方がいらっしゃいました。
実際以前に見たニュースでも似たような話があり、赤ちゃんの時にハイハイをあまりしないと体の動作のバランスが悪くなったり、本来持っているべき腕力や体幹の筋力が低い為、身体の危険を回避する為の動作がうまくできずに、転びやすくなったり転んだ時に手が出にくくなったり、腕力で倒れる身体をささえられないことが書かれていました。
成長発達におけるハイハイの重要性
ハイハイは赤ちゃんが初めて行う移動手段ですが、赤ちゃんの成長発達でハイハイが重要である理由には以下の様なことがあります。
①背骨の弯曲形成や動き
大人の正常な背骨の弯曲は、横から見た時に頚椎で前へのカーブ・胸椎で後ろへのカーブ・腰椎で前へのカーブというS字形で、これにより人間の体は重力による体のショックを軽減させながらの直立二足歩行を可能にさせます。
しかし生まれたばかりの赤ちゃんは、首~背中~腰が丸まった「Cカーブ」です。この状態から、腹ばい→ずりばい→ハイハイでまず頚椎の前へのカーブが作られ、次の段階として、直立することで、腰が前カーブになることで、S字のカーブが形成されます。
最近は子供でも猫背やストレートネックがみられる場合がありますが、これは後天的な姿勢の問題もありますが、実は子供の時に充分ハイハイを行っていない為に頚椎の前カーブの形成が不十分という場合もあります。
また、ハイハイの動きによる体幹部を回旋(捻じれ)させる背骨の動きは、歩行をはじめとした今後の新たな動作習得の為の基礎となってきます。
②背中やお腹・脚腰・腕・手の筋力の発達
腹ばい→ずりばい・ハイハイといった姿勢や動作を実際にご自分で行ってみるとよくわかると思いますが、これらの動作は背中やお腹・脚腰・腕にかなりの力が必要なのがわかります。重い体を手・脚で支えて動かすハイハイで子供の体幹部や脚腰・腕や手の力は相当鍛えられます。
③脳・神経の発達
直立二足歩行で左右の手足が交互に交叉しながら動く運動をクロスパターンとかクロスクロールと言いますが、この動きを最初に覚える動作がハイハイです。
このクロスパターンの動きは、さまざまな知覚神経や運動神経を働かせることになり脳への刺激になります。
さらにハイハイをしながらの他のさまざまな動き(協応運動)も多くの脳への刺激となって活性化が促されます。
特にハイハイを行うようになっていく生後8~10カ月は脳の「中脳」が発達する時期で、この中脳は視覚・聴覚・前庭覚(平衡感覚)・姿勢反射の中枢がある部分で、人間が生きていく上での基本的な体の機能を高めてくれます。
ちなみに、子供が立ち上がって最初の頃の2足歩行における腕の役割は、あくまでも体のバランスをとる為のものであり、上記のクロスパターンの動きにはならないので、やはりハイハイを行うべき時期にしっかり行うことは大切です。
このようにハイハイによる体の発達の重要性を考えて行くと、赤ちゃんの頃のハイハイの不足が、大人になってからの体の歪み・猫背・ストレートネックやそこからくる痛み凝り疲れやすさ・体の動きの不器用さなどからくる将来整体やカイロプラクティックの御世話になるようなトラブルの原因の一つとしても考えられます。
ただ、現実的に「うちの子はハイハイをあまりせずに立ってしまった」という話も良く聞きます。
実際赤ちゃんの体の発達には環境も大事です。日本の家屋は比較的狭いのでつかまりどころが多いせいもあるかもしれません。
時期がきたら、できるだけハイハイが出来る様に少し部屋を片づけてスペースを確保してあげたり、おもちゃを目の先に差し出して赤ちゃんが自分で動いてそのおもちゃを手に入れたいと思うように促すなどの遊びなども必要かもしれません。
また「這えば立て、立てば歩めの親心」というように、成長が少し遅いと、できるだけ早く立たせたい親心もあるかもしれませんが、少しぐらい遅くても赤ちゃんの自然な発達を待つことも大事です。
しかしながら、成長過程でハイハイをしなかったから、大人になったらもう手遅れか?というとそうでもありません。カイロプラクティックは神経機能の働きを促すことを目的とした療法です。成長後に明らかになる体の歪みやトラブル、上記のクロスパターンがうまくいかないが為の体の問題などに対応できるメソッドもありますので、ぜひ御相談御来院ください。