昔は無かったIT機器などが原因で起こる体の不調のことをテクノストレス症候群と総称されますが、その中でもスマートフォンの使用による不調については、「スマートフォンシンドローム(以下スマホ症候群)」と言われており、スマホの使い過ぎで起こる頚椎のアライメント(整列)の不良のことを「スマホ首」と言います。
スマホ症候群とは、スマホの長時間の使用が原因で、
肩こり・首の痛み・腕のしびれ・肩が上がらないとか、
他にも頭痛、眼精疲労、視力低下、めまい、吐き気、自律神経の乱れによるさまざまな不調といった症状がでてくる症候です。
首の背骨である頚椎はわずかな前弯のカーブがあることで、重量が4~5kgもの頭の重さを背骨の上にのせるとともにスペンションのように弾力を発揮して負荷を分散させます。
ところがスマートフォンを使っていると、うつむき姿勢で首を前に傾けることで、頚椎の正常な前弯のカーブが失われたストレートネックという状態になってしまいます。
スマートフォンなどによるうつむき姿勢の習慣でこのストレートネックの形状になってしまった場合、従来はテキストネックと言われましたが、最近は国内ではスマホ首といった俗称で言われるようになりました。
スマホ首になると、頭が体の上にのっからない為に首の筋力の力で頭を支えなければならず、大きな負担がかかります。さらに椎間板にかかる圧力が大きくなり、部分的に神経の出口の椎間孔を狭めて神経に問題を起こす場合もあり、肩こりや首のトラブルの原因になります。
ニューヨークの脊椎外科医ケネス・ハンスラージ氏は最新の研究により、頭を前方に傾けることによる首が支える
重さについて、「Surgical Technology International」の第25巻で発表しています。
それによると、頭の重さは4kg~6kgですが、手に持ったスマホを見るために、頭を前方に傾けると首が支えなければならない重さも増していき、例えば、頭を前方に60度傾けると、首には約27キログラムの力がかかってしまう(なんと5倍~7倍の重さ)と述べています。
この研究による、うつむく角度と首にかかる力の関係はイラストに示したようになります。
まず長時間使いすぎないように注意することが重要ですが、使用時の姿勢も大切です。
首の傾きは背中が丸まっているとより頭は前方に倒れ首の負担も増してしまいます。
背筋を伸ばしスマートホンの位置も少し上にして持つようにしてできるだけうつむかないようにし、電車で座っている時なども膝の上の荷物に肘を乗せてスマホ持つことでスマホを上の位置にして使用するようにしましょう。
タップなどの操作をしていない時はできるだけ片手で操作してイラストの様に余った片手で操作している側の肘を支えてあげるのも良い方法です。
スマホ症候群による不調に対する対応は肩こりのストレートネックに対する施術と同様です。
元来ストレートネックは首だけで形成されるわけでは無く、全身的なバランスの悪さで起こるので、全身のバランスを見つつ、しびれや脱力などの神経症状の有無を見ながら脊柱の正常なS字の弯曲を改善するように筋骨格系の操作を行っていきます。
上記の予防法で述べているようなシチュエーション毎の姿勢の指導やどこでも簡単にできるエクササイズの指導をしながら治療を進めていきます。
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