背骨・骨盤を中心とした身体の歪みや関節の動きの異常は、神経機能の問題を生み、これが腰痛、肩こり、首の痛み、背中の痛み、関節の痛みやしびれだけでなく、自律神経など身体のさまざまな不調に影響を及ぼします。この「歪みや関節の動き」を調整(アジャスト)することで神経の機能的な問題を改善し健康へ導くのがカイロプラクティックです。
カイロプラクティックで治そうとしているのは神経に異常を与えている骨盤、背骨の関節の動きの異常(関節機能異常あるいは関節機能障害=Joint dysfunction)や歪みです。
この関節の異常を「サブラクセーション」と言います。
背骨から出る神経は全身の身体の組織にいきわたっています。
サブラクセーションは腰痛、肩こりだけでなく身体に対してわかりにくいさまざまな問題を発生させます。
カイロプラクティックではこのサブラクセーションを身体のいろいろな問題の根本原因と考えています。
カイロプラクティックは1895年アメリカのダベンポートにおいて、D.Dパーマによって創始されました。当時、病気の根源について研究をしていたD.Dパーマは、たまたま耳の不自由だった召使のハービーリラードの背中を診たところ、盛り上がった背骨を発見し、その背骨がハービーの耳から音を消し去った原因と考え、その背骨をもとの位置に戻すように押してみました。すると彼の聴力が回復したのです。これがカイロプラクティックの始まりと言われており、その後多くの臨床と科学的研究によって、本国アメリカのみならず、世界の多くの国で認められる療法として発展してきました。
世界保健機関(WHO)はカイロプラクティックを鍼灸とならび補完代替医療として公認しています。また世界44カ国で法制化されており、信頼できる療法として位置付けられています。
カイロとはギリシャ語で「手」、プラクティックとは「施す」「技術」の意味をもっており、薬・手術を用いることなく「手」によって、病気の根源を取り除くものとして命名された言葉です。
カイロプラクティックは「神経の生理機能に悪い影響を与える関節の働きや構造の歪み」=「サブラクセーション」を、主に手技によって調整することで、身体を通る神経の情報伝達の流れを整え、自然治癒力を促す療法です。
現在カイロプラクティックには、多くのテクニックがあります。
元来は徒手のみによる技術でしたが、技術の発展により、その後さまざまなテクニックが開発されています。機械式のドロップテーブルやフレクションテーブルを使用したテクニック。骨盤のブロックを使用して自重圧で矯正するテクニック。あるいはアクティベータというインスツルメントを使用したテクニックなど、他にも検査法の違いなども含めて徒手のみのテクニックでもいろいろあります。
「サブラクセーション」の定義は、テクニックによって多少の違いがあるものもあり、時代によって研究も進み変化もしてきていますが、
カイロプラクティック=「サブラクセーションを取り除き健康へ導く」
という考え方は共通概念として存在します。
世界保健機関(WHO)と我が国の厚生労働省におけるカイロプラクティックの定義を記します。
WHOにおけるカイロプラクティックの定義(2005年)
「筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断、治療、予防する専門職であり、
関節アジャストメントもしくは脊椎マニピュレーション(アジャストメント)を含む徒手治療を特徴とし、
特にサブラクセーション(神経系の働きを妨げ生理学的変化を起こす因子)に注目する。」
厚生労働省「統合医療」情報発信サイトにおけるカイロプラクティックの定義(2014年)
カイロプラクティックは「法的制度の無い医療類似行為」との位置づけではありますが、
厚生労働省「統合医療」情報発信サイトにおいては以下の様に説明しています。
「カイロプラクティックは身体の構造(特に脊椎)と機能に注目した専門医療です。
カイロプラクティックの施術法は、施術者によって様々ですが、主に脊椎やその他の身体
部位を調整(矯正)することにより、ゆがみの矯正、痛みの軽減、機能改善、
身体の自然治癒力を高めることを目的としています。 」