--症状--
「デスクワークを行っているが、働くようになってからは慢性的にずっと肩こりが続いている。」
「昔は、仕事で疲れてきて夕方になると凝ってくる感じだったが、最近はよりひどくなってきて朝夕にかかわらず肩がこっている感じ。」
「左右両方ともこるがどちらかというと右」
「たまに腰痛もあり」
--検査--
姿勢
背中の丸みが目立つ円背(いわゆる猫背)。坐位ではさらに丸みは強まる。
頭と肩が前方に位置し、首も前方に伸びび顎が上がりやすい。
股関節の位置も前方に位置し、お腹がややまえに出た姿勢。
右肩がやや下がり、若干の側弯はあるが、坐位になると側湾や肩の高さの左右差も無くなる。
筋緊張の状態
顎が上がる為に後頭部直下の後頭下筋群は短縮性の緊張と圧痛。
上部僧帽筋が張っており、肩甲上角の肩甲挙筋の付着部の圧痛が強い。
胸腰椎移行部周囲の脊柱起立筋の張りも強い。
可動と痛みや違和感の出かた
頚部→屈曲で首全体の張りを感じる、左回旋と左側屈が制限され右首の張り。
体幹の右回旋で右の張り。
腰部伸展で腰部に若干の痛み。 肩関節の屈曲・外転で上げにくい。
筋力テスト
神経学的な上肢と下肢の筋力テストは問題なし。背部の中部下部僧帽筋の筋力が弱い。
神経学テスト
知覚・反射ともに問題なし。
整形学テスト
左右ライトテストで脈の減弱。他は問題なし。
カイロプラクティックテスト
頚椎 上部頚椎で左回旋制限と左側屈制限
胸椎 中部胸椎(T5・T6・T7)伸展制限 下部胸椎(T11・T12)伸展制限
腰椎 上部腰椎(L1)伸展制限
骨盤 右後下方内方変位 左前上方外方変位
--分析--
神経絞扼の症状はみられないので単純な肩こりと思われる。
円背により前方頭位姿勢が強調されており頚部はクレーンネック
それを支える首の上部僧帽筋など首の後部の緊張により、肩こりとなっている。
坐位になると円背はさらに強調されるので、
デスクワークをこなしてきた年数とともに症状が強くなってきたと思われる。
若干の機能性側弯があるので、そこから右首の症状がつよくなっている。
腰痛は胸腰椎移行部(背中と腰の境ぐらい)の固さから身体を伸展した時(反らし時)の伸展負荷が腰椎下部へかかっていることが問題。
現状は頭痛を訴えてはいないが、後頭下筋群の固さから、さらにひどくなると緊張性頭痛になる可能性も予想できる。
適正なS字の弯曲を形成る動きを促すことで肩こりも和らぐように思われる。
--施術と経過--
緊張の強い頚部と胸腰椎移行部を中心に筋肉の緊張緩和操作。骨盤の歪みをブロックで調整後、ドロップにて腰仙部、徒手によるアジャストで胸椎、頚椎の動きを促す。
さらにデスクワーク時の姿勢の指導を行うが、脚を組む癖があるようなので特に注意。だいぶ肩こり感は軽減された。
その後は週一回の通院で2回目の来院時には円背の改善の為のエクササイズの指導を行い、4回目あたりで自覚的にはかなり肩こり感はなくなった。ただし仕事が忙しくなると凝り感が出る時もあるので、通院間隔あけてのメンテナンスを継続。