--症状--
「若い頃から長く立っていたり、買い物などで一日中歩き回ると腰が痛くなっていた。」
「3年ほど前からテニスやダンスをやり始めたが、やはりやった後に腰が痛くなっていた。ただしすぐに回復する程度だった」
「ここ1年ぐらい痛みが右のお尻あたりにも出るようになっており、台所仕事で前かがみになる時や、座っている時も痛くなるようになってきた。」
「半年前に整形外科でみてもらって腰椎すべり症による坐骨神経痛で、薬を出されて、現状は腹筋などで筋力を鍛えた方が良いと言われたが、あまり痛みは変わっていない。その時撮ったレントゲンの写真画像のCDROMを持参」
「臀部や脚への痛みは感じない。」
「昔から整体とか整骨院やマッサージに行ったったことがあるが、その場は楽になるような気もするが良くなることはなく、今回はこちらにうかがってみ」
「肩こりも感じる。」
--検査--
姿勢
やや平背(背中が平ら)で腰の前へのカーブがあまりない。首も前弯のカーブがないミリタリーネック。
座った時はは腰の丸みやが強くなる。
筋の緊張や痛み
首の筋肉の張りが強い。腰の筋肉の張りも強い、右腰から臀部にかけての押圧による痛みがある。腰を左に側屈した時右臀部に痛み。
可動と痛みや違和感
腰を前屈した時に右の臀部の痛み、後屈(伸展)した時は腰の中央に近いところに痛みが出る。
>筋力テスト
右の足の母指伸筋の弱化。
神経学テスト
知覚や反射は上肢、下肢ともに問題なし。
整形学テスト
右SLR(下肢挙上テスト)とブラガードテストが陽性。
カイロプラクティックテスト
頚椎 C1,C2の伸展制限
胸椎 T4・T5伸展制限
腰椎 L1・L2・L3伸展制限
骨盤 左後下方変位 右後上方変位
--分析--
レントゲンの画像を見せてもらったが、腰椎4番がややすべっているが、それほどひどくは無い(1度程度)。関節突起間部の分離はなく変性すべり症のようにみえる。
すべり症にありがちな反り腰ではないが、逆に腰椎全体の反る可動域が少ない為、腰椎4番あたりの伸展の動きの負荷が高まってしまっている。
通常はすべり症では腰を反らすと悪化する場合が多いので腰を反らせる施術はあまり行わないが、この来院者様の場合、腰を曲げた時に臀部への坐骨神経痛様の痛みがみられるので、椎間板の問題も疑う必要がある。すべりの程度も軽度で仙腸関節の問題もなさそうなのでプライオリティとしては臀部への放散通がでない伸展方向へ動かす方が賢明。
その上で平背気味の脊柱に対し胸椎の後湾と頚椎の前弯を促すように動きをつけて行く。頚部と腰部の筋肉は張りが強くトリガーポイントの活性の可能性も考えられるので緩和操作を行う。
背骨のS字の的背な弯曲が腰椎4番辺りの過剰な負荷を和らげるので座り姿勢の指導と適正な腰椎運動を指導する。
週一回ぐらいの通院をすすめる。
--施術と経過--
頚部と腰部を中心にした筋肉の緩和操作を行う。
ブロックによる骨盤の矯正。腰椎全体の前弯の動きを付ける様に伸展方向の動きを促す。胸椎は後弯、頚椎は前弯の動きを促すようにように調整をおこなう。
さらに坐位の正しい座り方を指導で腰椎全体の前弯を形成する。
2回目の来院時には「教えられた通りに座っていると痛みは起こらない」ということなので、マッケンジーの伸展エクササイズを指導。ただし過度な腰椎4番の伸展の負荷にならないようにコルセットを巻いて行う様に指示。
3~4回目の来院時には、足の母趾伸筋の筋力の弱化がとれてきて、台所仕事ぐらいでは臀部の痛みは起こらなくなってきたが、油断して腰を丸めて座っていると少し痛みがでることもある。
5~6回目の来院時には、ほぼ臀部の痛みは出なくなってきたので。すべり症対策として腹筋の指導(腸腰筋を働かせずに腹筋のみ使うように)。以降は通院間隔をあけてのメンテナンスの通院をしてもらう。
施術開始2カ月後ぐらいでは立ちっぱなしや歩いている時の腰の痛みも出にくくなる。