カイロプラクティックは関節や筋肉の操作で神経の機能の正常な働きを促すことを目的とした療法ですが、ここで言われる神経は体を動かす運動神経や感覚神経だけでなく胃腸の働きや心臓血管などの循環器・呼吸器・膀胱・内分泌腺・唾液腺・汗腺・瞳孔など自分の意思でコントロールできない機能を支配している自律神経も含みます。
自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、交感神経は主に体が活動している時に働き、副交感神経は休息している時に働きます。自律神経はこの交感神経と副交感神経が体の状態や環境や心理状態に適応するようにシーソーのようにバランスをとり体の各器官を機能させます。
例えば運動をすれば、交感神経が高まり心拍数が上がり、呼吸が速くなり、多くの酸素を取り入れて筋肉が働きやすくさせると同時に汗を掻いて体温の上昇を抑えます。
夜寝る時は、副交感神経が高まり、心拍数は下がり、呼吸も深くゆっくりとなります。さらに消化吸収機能が高まり肝臓のグリコーゲンが生成されます。これらは副交感神経を高めることで体の組織の回復やエネルギーの蓄積をさせようとするためです。
この自律神経のバランスが崩れると体のさまざまな機能がうまく働きにくくなり、病院で他の原因が見当たらないと自律神経失調症といった診断がなされたりしますが、その症状は多岐にわたります。頭痛・動悸・息切れ・めまい・倦怠感・不眠・食欲不振・便秘・下痢・肩こりや腰痛やしびれの原因になることもあります。また精神的な気力の低下や怒りや不安感など精神的な症状として現れることもあります。
カイロプラクティックにおける自律神経のとらえ方というのはいろいろありますが、まずは背柱解剖学的な見方があります。
交感神経は脊髄を下行して背骨の頚椎7番(C8)か胸椎1番(T1)から腰椎3番(L3)あたりまでの神経の出口から末梢神経として表れ、背骨両脇の交感神経幹を介して全身に伸びて行きます。
副交感神経は脳神経Ⅲ番(動眼神経)、Ⅶ番(顔面神経)、Ⅸ番(舌咽神経)、Ⅹ番(迷走神経)の成分と脊髄を下行して仙骨から出る末梢神経(S2~S4)があります。
カイロプラクティックでは上部頚椎を副交感神経系。下部頚椎から胸椎・上部腰椎までを交感神経系、下部腰椎から仙骨を副交感神経系ととらえてこれらの脊骨の部位の構造上の負担や歪みや動きに問題が無いかをみて施術していきます。
カイロプラクティック・オステオパシー・スポンディロセラピー・整体などでも伝統的に用いられる背骨と臓器の対応がありますが、カイロプラクティックでは、これをメリックシステムと言います。
現実的には臓器と脊髄神経は一対一というわけではありませんが、来院者様の症状と実際の背骨の状態をみながら施術の参考にしていきます。
また東洋医学やそれに基づいた整体でも内臓に対応する背骨に沿った径穴(つぼ)の兪穴というのがありますが、メリックシステムと共通しているところもあれば、違うところもあります。例えばカイロプラクティックでは胃は胸椎5番に対応しますが、東洋医学系の鍼灸や整体でこれにあたる胃兪という径穴は、背骨の胸椎12番の横にあります。これはどちらが正しいというのではなく、人それぞれなので、この違いも踏まえつつ来院者様の訴えや体の状態をみながら治療の参考にしていきます。
呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸があり、胸式呼吸は交感神経優位の呼吸であり、腹式呼吸は副交感神経優位の呼吸です。体の不調を訴える方の多くは交換神経優位の胸式呼吸の傾向があり、施術においては腹式呼吸を行いやすくする為の調整を行い副交感神経優位の状態に導きます。また内臓の機能の中で唯一自分の意思で動かせるのが呼吸なので腹式呼吸に導く自分でできる呼吸のトレーニングの指導も行います。
カイロプラクティックのテクニックシステムの一つであるアプライドキネシオロジーでは、筋肉に対する様々な臓器の対応を示しており、マニュアル筋力テストにより機能的に弱い関連臓器を検出して施術を行う際の指標とします。
神経の中枢である脳と脊髄には脳脊髄液が循環しており、神経系の代謝に関わっていると言われています。この循環に問題があると、病院の検査でなかなか原因がわからない為に自律神経失調症と診断されるような不定愁訴があらわれることがあります。カイロプラクティックでは頭蓋骨や仙骨の動きの微弱な調整により脳脊髄液の循環の正常化を試みます。
先にも少し触れていますが、自律神経のバランスを改善するには、メリハリのある生活習慣が大切です。現代は交感神経が亢進しやすい状況になりやすいので、まずは睡眠時間は確保できているか?バランスの良い食事を三度の食事の形でとれているか?適度な運動が行われているか?といった御自分の生活習慣を見直すことは大切です。場合によっては、できる範囲でワーキングスタイルを変えた方がよい場合もあるかもしれません。
また、ストレスも自律神経の問題の大きな要因です。ケースによっては、ストレスによる体への悪い反応を低減させる治療を行うことも可能ですが、小金井市界隈は、自然も豊かでウォーキングや散策などで、ストレス解消や運動不足解消を行う環境には最適です。北側なら小金井公園・南側なら野川周辺や武蔵野公園などを歩いたり、帰りに一駅前で降りて歩いて帰るといった試みもおススメします。
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