立ち仕事中の腰の痛み　３８歳　女性　デパート店員

－－症状－－
「デパートでの販売の仕事をしている。この仕事を始めてから慢性的に腰が痛くなってきた。」「肩こりも多少ある」
「腰の真ん中で痛むがデパートでの販売の仕事をしており、この仕事を始めてから慢性的に腰が痛くなってきた。」
「どちらかと言うと仕事中に立っている時や通勤電車で立っている時に痛むのが気になる。」
「座っている時は大丈夫。歩いている時も立っている時ほどは痛まない」
「ひどい時は背中の下の方から臀部のところまで痛い時もある。」
「整形外科はかつて行ったことがあるが、レントゲンをとってもらって反り腰ではあるが異常なしといわれた」
「整体もいろいろな所に行ったことがあるが、カイロプラクティックはこちらが初めて。」

－－検査－－
姿勢
背中の丸み強い円背、いわゆる猫背。相対的に腰は反りが強い。首はストレートネックであるが頭が前方に位置したクレーンネック。後ろから見た時の歪みは目立たない。肩の位置もやや前方に位置している。
座った姿勢も背中の丸みが強くなる。
筋の緊張や痛み
首～背中のかけての張りが強く、圧痛もある。背中の下の方から腰にかけては短縮性の筋緊張があり、腰椎の前方への押圧で痛みが出る。
可動と痛みや違和感
腰の伸展動作（腰を反らせる）と腰椎の中部あたりの痛み。腰の屈曲（前に曲げる）では痛みはないが、腰部が丸まらず反ったままで背中の丸みが強調される。首の可動は正常。
>筋力テスト
神経学上の筋力弱化はない。
神経学テスト
知覚や反射は上肢、下肢ともに問題なし。
整形学テスト
ケンプテストで痛み。ナクラステスト・ヨーマンテストで腰に痛み及び大腿四頭筋の固さがある。トーマステストで腸腰筋の固さがみられる。
カイロプラクティックテスト
頚椎　Ｃ１・Ｃ２の屈曲制限
胸椎　Ｔ５・Ｔ６伸展制限　
腰椎　Ｌ２・Ｌ３・Ｌ４伸展制限
骨盤　やや前傾している

－－分析－－
痛みはひどいと臀部まで放散痛があるということであるが、神経症状らしき状況はみられず、立位で痛くなる状況。腰を反らせる動作による痛みと腰椎の前方への押圧による痛みの誘発。整形外科で異常なしといわれている状況から変性すべり症や分離症の可能性も除外できる。ナクラス・ヨーマンテストの陽性は仙腸関節の可能性も示唆されるが、痛みが出ているのが腰椎からベルト上への放散痛で骨盤下にブロックを引いて骨盤を後屈位にして行うと痛みはでないので、腰椎の関節の詰まりによる椎間関節症候群の可能性が高い。
腰の反り過ぎによる腰椎の椎間関節のストレスを減らす必要があるが、全体のバランスとして猫背を改善していく方向の関節の調整と短縮性の筋緊張のある部分への緊張の緩和が必要。
また腹筋の弱化もみられるので、腹筋を鍛える運動や下肢の腸腰筋・大腿四頭筋のストレッチを指導し実践してもらうことで、椎間関節のストレスを減らす根本的な治療として必要である。
週一回ぐらいの通院をすすめる。

－－施術と経過－－
首と腰部の筋肉の緊張緩和の操作を行う。
さらにブロックを使用した骨盤の調整をしながら腰部の短縮した筋肉に筋膜リリース。下肢大腿前面と腸腰筋と下腿のストレッチ。 腰椎は屈曲の動きを促すように調整。胸椎は伸展の動きを促すように調整。頚椎は上部の伸展位が強いので後方をやや牽引した状態で下部をゆっくりモビリゼーションを行う。
さらに正しい座り方や立ち方を指導。施術後には腰を反らした時の痛みはだいぶとれた
２回目の来院時にも同様の施術を行ったが「仕事で規定によりハイヒールを履いている」という話を聞く・・・「届を出せば、踵の低いパンプスに変更できる。」ということなので、変更してもらう様にした。さらに腹筋運動と下肢のストレッチを指導。
５回目には、だいぶ状況は良くなってきたので通院間隔をあけて定期的なメンテナンスを行うことを勧めるとともに、猫背の改善のエクササイズも指導。